時すでに夕暮れ、風も強く、予想以上に寒かった。いや、予想が甘すぎたのだけれども。秋の青森を舐めてたね。
初めてみた恐山地獄めぐりの印象は、思ったより小規模だな、というもの。
別に想像してから行ったわけでもないのだけれど、薄暗くて、広くて、寂しいぐらいの、つまりもっと荒涼としたイメージを持っていたのだね。
実際歩いてみると、夕方の陽を浴びた山々はこれでもかってぐらいに紅葉していて、高い位置から見た宇曽利湖は三途の川で見たのと同じように澄んでいて、極楽浜は白い浜辺と湖畔がとても穏やかで。
正直、良い景色だ、と、思ったよ。立ち込める硫黄のにおいも、私は苦にならなかった。
あたりを埋め尽くす積まれた小石や、地蔵や、手拭いを巻かれた木なんかは、なんというか、むしろ明るい感じがした。こういうところで死後を祈られたなら、それはそれで安らげるだろうなあ、という印象。表札なんかがざくざく置いてあるのも、さっぱりしたものに思えた。
ただ、妙にファンシーな風車は、痛々しかった。風が強かったのもあって、物凄い勢いで回ってた。
とりあえずは早々に切り上げ、冷えた身体を温めるべく、夕飯前に宿坊の温泉に浸かった。
うっかり顔を洗ったりしないでください、目をやられますから、と、あらかじめ説明があったのだけど、浸かってみるとこれがとても気持ちが良くて。聞いてなければ思わず顔に手が伸びていたと思う。
乳白色のお湯。10分も居なかったのにじんわりと温まって、食堂に向かった。
肉、魚のない料理も、これだけ品数があればお腹いっぱいだわ、という夕飯。
五観の偈 - Wikipediaを唱えての食事は、なかなか心に来るなと思う今日この頃。
恐山菩提寺は、曹洞宗のお寺だとか。
TVもなければ携帯も通じない夜。食後に菩提寺の紹介DVDを観たあとで、参拝時間が終わったあとの外の湯小屋に行ってみた。男湯2、女湯1、混浴1の設定らしく、とりあえず1つしか行けなさそうなのが残念ではあったけども。
手さぐりであかりをつけて、浴衣をざくっと脱いで湯船に浸かる。宿坊とは違う感じの透明なお湯。これはこれでまた良いものだった。
誰も来なかった。しばらくぼんやりした。小屋なので、当然解放感はない。何故か反省する気分になって、少し寂しい。
外に出て、地獄めぐりのあたりを眺めた。
入口あたりはうっすら見えるけれど、奥は何も見えない。それでも、昼間のことなどすっかり忘れて、さすがに雰囲気あるじゃないかと思ってしまう。境内の常夜灯すら何かを背負ってるように見えて、暗闇は無条件に怖いものだと思った。浴衣一枚じゃ寒いしな、と、誰に言うともなく。
次は久々写経をしてみた。
短いものやけど、手で字を書くこと自体が久しぶりなわけで、ひどい出来。まあ、それでも気持ちの問題やからね。
普段なら、心願成就、とでも書くところなのだけど、今回は、商売繁盛、ってお願いしてみた。まあ、気分で。
消灯は22時。もう一度宿坊内のお湯に浸かって、寝るかなと思ったら、相棒が部屋に置いてあった本、語る禅僧を読み終えたというので、私も読むことにした。
これが予想以上に面白く、最後まで読み切った。いろいろ腑に落ちる。記念に買ってくれば良かった。売ってたのかな。
まあ、逃げるスキルには、だいぶ昔に十分なだけ振ってあるからな。
向かい合って、どういう姿勢を取るか、を決めていくスキルにも、そろそろ振っておかないとね。
しかも私のAIはあまり賢くないから、意図的にやらないと使えなくなるし。
そんなことを思いながら、寝た。
参考:読んだ本の作者さん
恐山あれこれ日記
宿坊についてのざっくり情報なども。Wikipediaによれば、菩提寺院代さんのようだ。
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